ゴールデンスランバー ≪伊坂幸太郎≫

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ゴールデンスランバー  ≪伊坂幸太郎≫

久々の書評です。今回は先週、直樹賞を受賞した道尾秀介と並び、私が日本のミステリー業界の双璧と勝手に呼んでいる伊坂幸太郎のゴールデンスランバー (新潮文庫)だ。



舞台はほぼ現在といっていい時代の日本。ただし、この日本では首相公選制になっており、仙台では治安維持目的のため試験的にセキュリティーポットという監視システムが置かれている。その仙台で、明確なビジョンと清潔感、そして狡猾さを持ち合わせ、50際という若さで総理まで登り詰めた金田貞義がパレード中に爆弾テロで殺されてしまう。そして、この本の主人公がその犯人に仕立てられ、巨大な権力から逃亡を図るというのが、この本の大きな流れだ。この本に限らず、伊坂幸太郎の本には、権力というものに対する不信感がよく描かれている。(魔王 (講談社文庫)モダンタイムス (Morning NOVELS)他) 

ケネディー暗殺犯とされたオズワルドと同じ立場に置かれた主人公だが、本のタイトルにもなっているGolden Slumbersというビートルズの曲のように主人公にとって、懐かしく戻りたくても戻れない学生時代の恋人、友人達(切り裂き魔”キルオ”も含め)が陰に陽に主人公の逃亡を助けていく。

Once there was a way to get back homeward. 
(昔はあの頃へ帰る道があった)
Golden slumbers fill your eyes. Smiles awake you when you rise.
(安らかに輝く安らぎがあなたの瞳を満たし、目が覚めれば微笑みがあるだろう)

おそらく、伊坂幸太郎にとっての一つのテーマとして、権力とはどうあるべきか?というのがあり、それを軸に話が進む。そのため、全編を通じ、陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)のような伊坂ワールド特有の暖かみのある雰囲気ではないが、いいところに親子の絆、友情、愛情などが散りばめられており、伊坂作品の中でもTOP3に入る本であることは間違いない。特に『第五部 事件から三ヶ月後』にある”痴漢は死ね!”、”前にキャバクラ嬢と浮気したらしいですよ”、”よくできました”のくだりはもう、目頭熱くなること間違いない。

今回、読んだのは二回目であったが、あまりに面白かったため、映画版もDVDで観てしまった。ついつい原作から入るとイメージが出来上がるため、映像化されると違和感を覚えることが多いが、かなり的確な配役である。主人公を演じるのは堺雅人、晴子役が竹内結子、違和感は五分で消え、原作のノリで楽しめた。特に脇役ながら存在感がったのが、キルオ役の濱田岳と主人公の父親役の伊東四朗だ。原作を読まなくても十分楽しめる。また、原作を読んでいれば、登場人物のせりもほぼ原作通りではあるが、微妙に変えている点やはしょったところなどもあり、原作との比較なども楽しめる。いずれにしてもこちらもお勧めです!



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Category: 書評
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