『TPPが日本を壊す』 廣宮孝信著、扶桑社

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TPPについて考えたい①
『TPPが日本を壊す』 廣宮 孝信著


TPP参加へのスタンス ★★★☆☆

最近、話題のTPPだが、推進派の話を聞くと”参加するしか有り得ない!”と思うが、逆に反対派の意見を聞くと、”TPPなんか参加したら日本は滅んでしまう!”と思えてしまう。本屋に行くと売られているのは、どぎつい反対派の本が多い。TPP亡国論 (集英社新書)TPPが暮らしを壊す 雇用、食生活、保険・医療の危機「TPP開国論」のウソ 平成の黒船は泥舟だったなどだ。亡国論、ウソ、泥舟とひどい言い分だが、読むとそれなりに説得力がある。私自身、貿易に従事する人間としてTPPには参加すべきだとは思っているが、あいまいな点もあるので、この際、反対派・推進派それぞれの本を読んでみて、自分の意見が正しいか?考えてみたい。

まずは、一冊目『TPPが日本を壊す (扶桑社新書)

著者は、廣宮孝信氏。75年生まれで阪大の大学院工学研究科からミノルタに就職。現在は作家として活躍。





文面は「です・ます」調。「果たしてTPPに参加することでどういうメリットがあるのでしょうか?」的なソフトなタッチで書かれているが、結論はTPPには反対である。ただし、他の反対派の本のように100%反対ではなく、現状の十分な議論がないまま、民主党政権が深く考えずに参加を決めてしまようとしていることに対しての警鐘をならそうとするスタンスではと感じた。

いくつか、気になった点としては、

① 日中FTAが尖閣騒ぎやなんやで頓挫したので、次の手としてTPPに飛びついた。
② TPPはFTAと違い、100%例外なき市場開放を目指している。
③ TPPでメリットがあるのはグローバル大企業のみ。大多数の国民にはデメリット。
④ 政府調達も市場開放の対象となる。
⑤ 参加化国は虎視眈々と日本市場への輸出を狙っている。
⑥ 国益と日本企業の利益は必ずしも一致しない。
⑦ 日本経済にはまだ足腰しっかりしていて、急がず徹底した議論をして結論を出すべき。

それなりに理性的(反対派の本はよっぽどTPPに恨みがあるのか?妙に感情的なものが多い)に書かれているが、なぜか?第4章で橋下前知事の大阪都構想がやり玉にあがり、大阪都+外国人参政権付保+TPPで日本崩壊?という論法が出てくるのはちといかがなものか?と思った。

TPP参加 → 安い輸入品がなだれ込む → 地方の中小企業が倒産 → 失業対策で公共企業実施 → 国際入札で札をとるのは海外企業 → 実際に汗流すのは下請けで安い給料で働く外国人 → 大量の人件費の高い日本人失業者が発生 → 税収の減+社会保障費の増大 → 地方自治体が破産!

という話などが出てくるが、100%そうはならないと言えるかというと何とも言えないが、TPPに参加しない今の状況でいいのか?というと、著者もそうは考えていないように思えた。何より十分な議論なく、日中FTAが無理なら、じゃあTPPに!という軽はずみな現政権への憤りがベースにあるのでは?というのが全編を通じ感じられた。

この本では、国内農業の維持の重要性についても触れているが、それよりも印象に残ったのは政府調達が海外企業にも門戸があくことによって、公共事業に頼る地方の建設業界が壊滅するという話や、学校給食の入札なども海外企業が日本の食文化を無視して営利目的で落札するという予測などがあったが、少し極端なケースでは?と思う。この辺りについては他の本も読んで比較してみたい。

とりあえず、一冊目はこんなところにて。

Category: 書評
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