「TPP開国論」のウソ、中野剛志責任編集、第1章三橋貴明編②

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TPPについて考えたい⑦
『「TPP開国論」のウソ』 Ver.2

平成の黒船は泥船だった 飛鳥新社
中野剛志責任編集


既に一度、「TPP開国論」のウソ 平成の黒船は泥舟だった」の第1章三橋貴明編「TPPの正体」について書かせてもらったが、今回は三橋貴明編の最後にあるTPP推進派の主張についての反論について触れてみたい。




この本でTPP関連本は6冊目となるが、ほとんどの本が2011年5月に出たものだ。どうもこの時点(執筆はその前だけど)ではTPP賛成派の方が強くて、このままでは日本は危ない!という気概をもって出たTPP反対本が多いようだ。(あるいは誰かがスポンサーになりその手の本を集中的に書かせたか!?)今は反対派の方が勢いあるような気がするけどね。ちなみにこれまでの本(前回三橋貴明編を書いた時もそうだが)は全て地元の浦安図書館で借りたものだが、前回読んでみてこの本がなかなか読みごたえあったため、アマゾンで購入してみた。もし、読んでみたい!と思われる方は是非このブログから買ってください^^


TPP推進論 -残念な人々の気の毒な論理

① 「TPPでアジア繁栄の尻場に乗る」説

『アメリカ、日本、オーストラリアの3か国で日本を入れた加盟国10か国のGDPの95%を占め、日本市場以外は、アメリカにとって無意味に等しいのです。韓国も中国もインドも入っていないTPPで、いったいどうしてアジアの成長を取り込めるんだ!そもそもアメリカの狙いは日本市場なんだ!!』という反論です。

一見TPP反対の主張としては説得力あるが、アメリカの輸出の中での日本のシェアは5%、その他TPP参加国8か国の合計は7%と日本を上回っている。決して、GDPシェアのようにその他8か国は5%の扱いではなく、日本の1.4倍のシェアなのである。一方、日本にとってのアメリカ以外の参加化国の輸出に占める割合は・・・後で調べないと^^;

『またGDPを増やすためには日本の純輸出(輸出-輸入)を増やさないといけないが、純輸出がGDPに占める割合は1%強しかないため、純輸出を2倍に増やしてもGDPが1%しか増えない。意味ないじゃん!』という反論も書かれているが、純輸出を増やす過程では、民間最終消費支出(GDPに占める割合は59%)、民間企業設備(同14%)も伸びるはずなので、単純にGDPが1%しか増えないとはならないんじゃない!?

② 「ブロック経済で中国に対抗する」説

現在の米中関係のレベル(かつての米ソのように冷戦ではない)では、経済と軍事は相反するものではないので、TPPに入るイコール中国に対し何か優位に立てるというものでもないと思う。アメリカは中国もTPPに入れたいと思ってるだろうしね。将来は。(エルメスやアップルの商標権敗訴の問題など考えるとかなりハードル高いと思うけど。)

③ 「韓国に対抗できる」説

『TPPに入って関税面で同等になったとしても、韓国が強いのはウォン安のためであり、意味がない』という反論だが、2.5%(アメリカの乗用車)でも無税になるに越したことはない! 当然、為替問題は日銀の金融緩和、インフレターゲットなどで円安に持っていかないといけない。でも、TPPとは関係ない問題。

④ 「TPPでデフレは進まない」説

そもそも三橋貴明氏は、自由貿易が進むとデフレになると説くが、そこから意味不明。デフレ問題も円高問題と同じく日銀の禁輸緩和、インフレターゲットが必要。TPPと関係ない問題。『日本では、輸出が増えれば増えるほど、平均給与が下がっていきました』ともあるが、相関関係はないだろう。


⑤ 「バスに乗り遅れるな」説

どうせ大したバスじゃないので、急いで乗らなくてもよいという反論。根は①と同じ問題。日本にとって参加するメリットがあるか?をどう見るかの問題。

⑥ 「早く参加しないと手続きが不利になる」説

『しかも交渉に負けることがはっきりしているわけですから・・・』だから早く参加しても意味がないとあるが、なぜ負けることがはっきりしているの? 

⑦ 「震災復興のため、TPPに参加しなければならない」説

『デフレ下で更に震災復興までしなければならない中、どうしてデフレが進むTPPを?』という論理だが、そもそも④同様にTPPとデフレは関係ないだろう。

また、『アメリカは非常にフェアで、情報を隠しません。日本のマスコミや政治家だけがかくしています。』とあるが、そんなことないだろう。どちらも自分たちに有利になる情報しか出さないんじゃない?


という訳で、この第1章三橋貴明編を読む限り、TPP反対のための推進派への反論という感が否めなかった。次は、農業問題について中心に書かれた第2章東谷暁の『「TPP=農業問題」には騙されない』だ。以前、東谷暁の『間違いだらけのTPP』を読んでみたが、結構無茶な内容だった気がするが・・・ 今回はどうだろう^^:

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Category: 書評

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