『マリアビートル』 伊坂幸太郎

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『マリアビートル』 伊坂幸太郎



伊坂幸太郎の『マリアビートル』を読んでみた。新聞か電車の吊り広告で見て、すぐに図書館で申し込んだが、順番が来るまで半年程かかってしまった。以前はよく本を購入していたが、最近は自分の本の売れ行きがいまいちなことと本を置く場所に困るので、極力図書館で借りるようにしている。それでも、新書で読んで面白かったものは文庫が出ると買ってもいるが、買うのは伊坂幸太郎の文庫が多い。以前、書評にも書いた『ゴールデンスランバー』チルドレン (講談社文庫)フィッシュストーリー (新潮文庫)グラスホッパー (角川文庫)など折を見て買い足しているが、今回読んだマリアビートルは、グラスホッパーの続編となる。

グラスホッパーもこれがまた面白い本で、少なくとも数年に一度は読み直すことになることは間違いないと思っている。粗筋は妻を殺された元教師の”鈴木”が復讐のため、その犯人がいる怪しい組織に入り込むというものだが、冒頭からその犯人が”槿(あさがお)”という押し屋(=道路や駅で背中押して人を殺す)に殺され、途方にくれる主人公を尻目に、自殺屋(=依頼があれば、どんな人間でも自殺させる)の”鯨”やナイフ使いの”蝉”、毒殺専門の”スズメバチ”などの話が絡みながら、物語は進んでいく。

今回のマリアビートルでも、元教師の”鈴木”や、押し屋の”槿”、”スズメバチ”などが登場。また、新規にほとんどが殺し屋だが、長身・長髪の双子のような殺し屋”蜜柑(みかん)”と”檸檬(レモン)”、世界一不幸な殺し屋の”七尾”、息子を寝たきりにした犯人を殺そうとするアル中の”木村”など物騒なメンツが出てくるが、皆それぞれに憎めない点があるが、その中で嫌な意味で存在感がある中学生”王子 慧(おうじ さとし)”だけは好きになれない。大人顔負けの冷徹な頭脳で周囲を支配するこの”王子”がいるからこそ、残りの殺し屋達に好感を持てたとも言える。その辺りは伊坂幸太郎の意図通りだろう。

伊坂作品が安心して読めるのは、どんなキツイ話でも最後はそれなりにまとめてくれるという安心感があるからだ。好感が持てる登場人物はだいたい生き残り、悪者はそれなりに罰を受け、読み終わりすっきりな清涼飲料水のようである。あまり読んだことはないが、ロシア文学などのようにどこまでも落とされるような暗い陰質な感じはない。そういう意味では、日曜の夜に読み終わるには伊坂作品は良いかもしれない。少なくとも伊坂幸太郎の本を読んで、もう生きるのが辛いとなることはないだろう!

p.s.

昨日、今日とちょっと違うかもしれないけど、東北方面(北陸含め)へ行く新幹線に乗ってきた。トイレ開けると死体の山があるんじゃない?とか売り子の女の子が来る旅にスズメバチ?とドキドキしながら。

でも、あんな車両でボコボコ殺し屋同士の死闘があるなんて、普通ないよね^^

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Category: 書評

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