『恐るべきTPPの正体』 浜田和幸著、被害妄想、攻めようよ!

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TPPについて考えたい④
『恐るべきTPPの正体 アメリカの陰謀を暴く』

参議院議員 浜田和幸著、角川マーケティング発行



TPP参加に対するスタンス ★★★★★

TPP関連本第四弾!今度は現役の参議院議員の浜田和幸氏が書いた『恐るべきTPPの正体 アメリカの陰謀を暴く』だ!

著者紹介によると現在、参議院議員(自由民主党)とある。いや、待てよ。今日読んだ記事で、みんなの党の山内康一議員が、「浜田和幸外務政務官が著書や雑誌でTPPは米国の陰謀だ!と主張しているのは野田内閣としての見解なのか?」という質問主意書を提出したとある。自民党ちゃうの? 調べてみると一本釣りで民主党に鞍替えしていたのか^^; さて、その山内議員の質問書に対する野田内閣の答弁は、『政治家個人としての見解を述べたものであると承知しており、政府としてお答えする立場にない』とのこと。また、適材適所の観点から起用したともある。適材適所!?これほどアメリカのことを悪く言う人を政府に置き、その政府がTPP推進!? 摩訶不思議、民主党、野田内閣>< 自民にも言えるけど、党の中で大反対しているグループと推進の人達両方抱えているが、次の選挙の時にはマニュフェストに「断固反対! でも推進もありかも!?」とでもマニュフェストに書くのだろうか?





第一章 : なぜ今、TPP参加なのか
第二章 : TPPをめぐる各国の動き
第三章 : 一枚岩ではないTPPをめぐるアメリカの状況
第四章 : TPP交渉の裏で暗躍するアグリビジネス
第五章 : 日本はどうなるのか?
      ~TPPという黒船に日本はつぶされる


第一章、第二章、第三章はこれまで読んだ本と基本的には同じような内容で目新しい箇所はなし。

第四章、第五章が、この本の特徴というか?アメリカのアグリビジネスによる陰謀という話になる。昔よく読んだ矢追純一の本を思い出した。目次にあるそれぞれの章の見出しをまとめると、だいたいわかるのだが、食料価格高騰を演出するアメリカ遺伝子組み換え種子を世界に売りまくるモンサント社が、農民の生活を脅かす遺伝子組み換え種子を武器に資金力でブラジルを牛耳るアグリビジネス、そして食料問題はアメリカの戦略的武器になるというのが第四章。

そして、第五章ではアメリカの陰謀により、ズタズタにされる日本の姿が描かれる。

TPPで打撃を受ける国内農業その後に注意しないといけないのが食料の安全保障問題食の安全、そしてアメリカの陰謀は農業だけでなく、医療分野、簡易保険、日本の教育、アメリカの弁護士が日本に乗り入れ、会計はもうアメリカに押さえられ、外資のテレビ局が誕生し、日本の農地や水資源が外国のものになり、日本語が非関税障壁になり政府調達も大変、日本が誇る「ものづくり」も守れなくなり、最後には日本が日本人のものでなくなる日が来るか?で締めくくる。

読みながら思ったのだが、日本の農地が外資に取られるのであれば、日本も海外で農地をとればよいのでは?教育って、コストだけでなくてやっぱ中身で選ぶんじゃない?日本語喋れないアメリカ人の弁護士が来ても? 外資のテレビ局の一つや二つできたとしても逆に多様化で良いんじゃない? 政府が日本に投資を!と外資を呼び込もうとしているのと同時にそれは日本の乗っ取りだと叫ぶ浜田和幸議員のような論理はいかがなものか?あまりに被害妄想というか、ノーガード戦法で全く反撃せずに殴られるままの日本を描写しているが、日本にとってもチャンスなのでは?そちらは一切描かれていない。今、日本に必要なのは、そちらなのに。このままジリ貧で良いのか!?

1953年生まれの浜田議員は、東京外国語大学中国語学科卒、ジョージ・ワシントン大学院で政治学博士号を取得、国際未来科学研究所(って何?)代表を経て、自民党から当選、民主に鞍替えして復興担当の総務大臣政務官となった。そして、今は外務大臣政務官であるが、本当に適材適所なんだろうか?このような立派な経歴の方が、こういう主張をし、かつ現内閣の外務政務次官をしていることに我々の子供の世代の日本はいったいどうなるんだろう!?っと思わされる一冊であった。



Category: 書評

『TPP亡国論』 中野剛志著、集英社新書

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TPPについて考えたい?
『TPP亡国論』 中野剛志著


TPP参加へのスタンス ★★★★★

TPP参加反対の代表的論客と化してきた中野剛志のTPP亡国論を読んでみた。ちなみに中野氏は経産省から京都大学に出向している身分であり、本来賛成の立場にあってもおかしくないだけに、そのエキセントリックな言動と合わせ、不気味な存在感を醸し出している。




第一章 TPPの謎を解く
第二章 世界の構造変化を読む
第三章 貿易の意味を問い直す
第四章 輸出主導の成長を疑う
第五章 グローバル化した世界で戦略的に考える
第六章 真の開国を願う

TPPの細部をネチネチ攻めるのではなく、

① デフレを加速させるTPPの前にデフレ脱却が先だろう!
② TPPに参加してもドル安を進めるアメリカ向けには輸出出来ない!
③ アメリカが狙う対日農産物輸出の増大は危険だ!


の3点に絞った内容になっている。

まず、デフレ脱却が先だろう!という点には全く賛成である。ただ、TPPを含め自由貿易そのものがデフレを進めるという意見はどうだろう?安い農産物や牛肉が入ってくる → 吉野家が値下げする → 他の外食産業も値下げ追随 → 人件費削らないといけない → 他の産業にも影響出る → デフレが進む!という論理だ。まず、安い食料品が輸入されたとした場合、月に20万円の所得がある人ならエンゲル係数が下がってその分他の消費に回るのでは?さすがに吉野家の値下げに刺激されて、消費を抑えよう(=デフレ化)という動きにはならないだろう。あるいは、食料品が下がることにより物価の下落が進み、20万円の所得が18万円に下がる程の影響があるだろうか?とにかく、デフレの問題はこれはこれで解決しなければ日本の復活はないので、解決させないといけない最大の問題であることには大賛成だが、TPPとは関係ないと思う。ちなみにデフレ脱却のため、どんどん財政支出をするべきだ!という意見には賛成。(この本では、“がんがん国債を発行し、がんがん公共事業するべきだ!”という結構乱暴な書き方^^)また、当面、日本はギリシャのようにはならない、日銀が国債を買えば良いという意見にも賛成だ。

次にいくらTPPに参加してもアメリカ向け輸出が伸びない!という点だ。まず、どのTPP反対の本にも書かれているが、GDPで比較すると日米で全参加国の9割を占める。日本が24%、アメリカが67%、そして残りの10%弱の半分をオーストラリア、そして後の7か国でその半分(5%弱)となる。これだけ見ると確かにTPP賛成論者が唱える”アジアの成長を日本に取り込む!”というのがいかに意味のないことなのか?と言われると確かに説得力がある気もしてしまう。結局日本にとって期待できる輸出先はアメリカだけだが、そのアメリカの目的はあくまで国内の雇用を守るための輸出の倍増であり、TPPに参加しても日本は逆にアメリカ含め、他のTPP参加国からの輸入が増えるだけであるとの論理だ。ただ、GDPベースでは小さな国であっても日本としては様々な工業製品を輸出しており、またそれらの国から既に農産物や鉄鉱石他の鉱物資源を輸入している。既にそれらの関税は高くない。逆にTPPにより、投資環境の内外差別がなくなれば、日本がチリの鉱山に投資するなどというケースでのリスク低減になり、資源確保という意味でメリットがあるのでは?と期待する。でも、やっぱり2.5%でもアメリカの自動車向け関税なくなれば、輸出にはメリットになるだろう。少なくともウォン安武器に輸出攻勢をかける韓国車との競争においてはないよりマシであろう。
そもそも、デフレ問題にも通じるが、TPP参加の是非と関係なく、日本も金融緩和&財政出動をし、デフレ脱却(緩やかなインフレへ)&円安にもっていき、経済成長が必要だろう。これもTPP参加とは別の問題だ。

長くなったが、最後にアメリカからの農産物が大量に輸入される!ことだが、中野氏としては旱魃の際などに高値で買わないといけなくなるリスクだけでなく、最悪、アメリカが穀物の国内向けを優先し、輸出禁止などのリスクもある!と説いている。賛成/反対問わずTPP本全てに言えることかもしれないが、数あるデータを都合の良い形で引用している気がする。この本でも既に日本の関税は低く、農産物に限っても平均関税率12%は高いとは言えないとしながら、TPPに参加すれば更にアメリカからの農産物が大量に入ってくると言う。というより、既に入ってきているのでは?

これまた、農業問題についてもTPP云々というより、今後日本の農業をどう維持・発展させていくか?というTPPとは別の問題だ。

というわけで3点ともTPP反対の理由として論じてはいるが、参加するしないにかかわらず、日本が手を打たないといけない問題であって、TPP反対の理由にはならないという気がした。

Category: 書評

『間違いだらけのTPP』 東谷 暁著、朝日新聞出版

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TPPについて考えたい②
『間違いだらけのTPP』 東谷 暁著


TPP参加へのスタンス ★★★★★

さて、先日の廣宮孝信著の『TPPが日本を壊す』に続き、第二弾としては『間違いだらけのTPP 日本は食い物にされる (朝日新書)』だ。




この本もTPP参加には反対の立場で書かれている。


序 章 あまりに不自然なTPPの登場
第一章 矛盾だらけの「TPP経済学」
第二章 日本の農業が直面する本当の脅威
第三章 ETAからTPPへの謎の反転
第四章 アメリカの狙いは「金融」と「投資」だ
第五章 TPPは安全保障になるという幻想
終 章 太平洋もアジアも逃げない



TPP賛成・反対どちらの本もそうだが、読んでいた思うのはまるで最初から結論ありきでその材料を無理やり探している気がする。

‐TPPはデフレを助長する。
‐農業が壊滅する、アメリカ企業に日本の農業が支配される。
‐日本の「アメリカ化」が狙い。
‐郵政の資金をアメリカは狙っている。
‐水などのライフラインも「投資」の対象になる。
‐海外投資家との訴訟が日常茶飯事になる。
‐TPPはアメリカの投資家を保護するため。
‐アメリカはアジアに武器を売りたい。
‐TPPは日本の参加を必要としている。
‐日本はETAかEPAをゆっくり進めばよい。

といったものだが、デフレ対策や農業対策とTPPとは別の問題であるのを無理やりごっちゃにしている感がある。仮にTPPに参加しないとしても農業問題に手を打たないと10年後の日本の農業従事者はいなくなっているし、デフレ対策には日銀の金融緩和によりインフレターゲット導入などが必要である。この本にあるようにTPP参加により、農業の大規模化が起こるが、その事業者はノウハウを持つ外資になるというのも現状の先細りの将来よりはまだよいのではないか?仮に一部、外資が参入し実績をあげれば必ず日本企業もそのノウハウを学び、同様に実績を上げれるはずで、結果として日本の農業の発展に繋がると思う。

アメリカのような先進国とはWTOの枠組みの中で交渉を続け、これからの成長が望まれる途上国とはFTAやEPAで二国間の自由貿易交渉を続ければよいとし、グローバリズムの推進が豊かな世界への道ではないのはアメリカの金融危機で証明されたとしているが、これもグローバリズム、TPP、金融危機といくつかの問題をごっちゃにしたTPP反対のための強引な論理という気がする。全編通じ、こんな感じの本であった。


Category: 書評

『TPPが日本を壊す』 廣宮孝信著、扶桑社

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TPPについて考えたい①
『TPPが日本を壊す』 廣宮 孝信著


TPP参加へのスタンス ★★★☆☆

最近、話題のTPPだが、推進派の話を聞くと”参加するしか有り得ない!”と思うが、逆に反対派の意見を聞くと、”TPPなんか参加したら日本は滅んでしまう!”と思えてしまう。本屋に行くと売られているのは、どぎつい反対派の本が多い。TPP亡国論 (集英社新書)TPPが暮らしを壊す 雇用、食生活、保険・医療の危機「TPP開国論」のウソ 平成の黒船は泥舟だったなどだ。亡国論、ウソ、泥舟とひどい言い分だが、読むとそれなりに説得力がある。私自身、貿易に従事する人間としてTPPには参加すべきだとは思っているが、あいまいな点もあるので、この際、反対派・推進派それぞれの本を読んでみて、自分の意見が正しいか?考えてみたい。

まずは、一冊目『TPPが日本を壊す (扶桑社新書)

著者は、廣宮孝信氏。75年生まれで阪大の大学院工学研究科からミノルタに就職。現在は作家として活躍。





文面は「です・ます」調。「果たしてTPPに参加することでどういうメリットがあるのでしょうか?」的なソフトなタッチで書かれているが、結論はTPPには反対である。ただし、他の反対派の本のように100%反対ではなく、現状の十分な議論がないまま、民主党政権が深く考えずに参加を決めてしまようとしていることに対しての警鐘をならそうとするスタンスではと感じた。

いくつか、気になった点としては、

① 日中FTAが尖閣騒ぎやなんやで頓挫したので、次の手としてTPPに飛びついた。
② TPPはFTAと違い、100%例外なき市場開放を目指している。
③ TPPでメリットがあるのはグローバル大企業のみ。大多数の国民にはデメリット。
④ 政府調達も市場開放の対象となる。
⑤ 参加化国は虎視眈々と日本市場への輸出を狙っている。
⑥ 国益と日本企業の利益は必ずしも一致しない。
⑦ 日本経済にはまだ足腰しっかりしていて、急がず徹底した議論をして結論を出すべき。

それなりに理性的(反対派の本はよっぽどTPPに恨みがあるのか?妙に感情的なものが多い)に書かれているが、なぜか?第4章で橋下前知事の大阪都構想がやり玉にあがり、大阪都+外国人参政権付保+TPPで日本崩壊?という論法が出てくるのはちといかがなものか?と思った。

TPP参加 → 安い輸入品がなだれ込む → 地方の中小企業が倒産 → 失業対策で公共企業実施 → 国際入札で札をとるのは海外企業 → 実際に汗流すのは下請けで安い給料で働く外国人 → 大量の人件費の高い日本人失業者が発生 → 税収の減+社会保障費の増大 → 地方自治体が破産!

という話などが出てくるが、100%そうはならないと言えるかというと何とも言えないが、TPPに参加しない今の状況でいいのか?というと、著者もそうは考えていないように思えた。何より十分な議論なく、日中FTAが無理なら、じゃあTPPに!という軽はずみな現政権への憤りがベースにあるのでは?というのが全編を通じ感じられた。

この本では、国内農業の維持の重要性についても触れているが、それよりも印象に残ったのは政府調達が海外企業にも門戸があくことによって、公共事業に頼る地方の建設業界が壊滅するという話や、学校給食の入札なども海外企業が日本の食文化を無視して営利目的で落札するという予測などがあったが、少し極端なケースでは?と思う。この辺りについては他の本も読んで比較してみたい。

とりあえず、一冊目はこんなところにて。

Category: 書評

AERA '11 8.29 現代の肖像 中村繁夫、私のコメント多数あり!

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≪現代の肖像≫中村 繁夫 現代の山師!

今週号のAERA(’11.8.29 /表紙には体操の田中理恵さん)の≪現代の肖像≫は私が勤める会社の中村繁夫社長についてである。

私のコメントなども名前付きで書かれていて有難い^^記事を書かれた森 健さんにはこの場を借りてお礼申し上げたい。(このブログは読んでくれてないとは思うけど・・・^^;)

朝日新聞社はAERAにはかなりのお金と人、そして時間をかけて作っているとは聞いていたが、それを実感した。 私も昨年12月8日に森さんにインタビューを受けたが、その時にはすでに中村の小学校時代の友人、元同僚、元上司など多くの人のインタビューを集めていた。また、今回使われている写真はたった3枚だけだが、わざわざその写真を取るためにカメラマンの今村拓馬氏が中村のベトナム出張にも同行していた。そして、ようやく今回の記事となるのである!

ちなみに私が受けたイタンビューだが、中村繁夫とはどんな人ですか?部下として率直な意見を!といったものだったので、かなり率直に話させて頂いた。それが結構そのまま使ってくれている!(あちゃ~>< クビ?)
 
  - 社内の会議で、2分で済む話を脱線して、1時間程引っ張る。
  - そのくせ、自分が話していないと面談中でもすぐ居眠りする。
  - メガネ、口髭、ずんくりとした体格。実写版スーパーマリオ
 
また、更に嬉しいことに私の本の紹介もしてくれている。これで売り上げ倍増!重版確実!?抜粋すると、

当時のことを、部下で前出の西野は自著『ひとり総合商社が行く!』でこう綴っている。
<中村は社員を前に「俺についてくるやつはリストに判子を押してくれ」と言って15分間だけ退席した。いわば血判状のようなものである>
そして、西野は<迷わず、判子を押した>。
だが、じつはその部分はゲラの段階で中村が手を入れてきた個所だという。西野が笑っていう。
「本当にそんなことしたっけと、記憶が曖昧なんですが・・・・。まぁ、中村の中ではそういう感じだったということなんでしょう。たしかにそのほうがドラマチックですから」


あ~、とうとう言っちゃった!


FNT_20110829.jpg

良ければ、是非お読みください!(+私の本も!)


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